2025年6月22日神学校週間礼拝「神の国に入るのはやさしい」

聖書をお読みいたします。

聖書箇所は、マルコによる福音書10章17節〜30節。

新共同訳新約聖書81ページ〜82ページです。

10:17 イエスが旅に出ようとされると、ある人が走り寄って、ひざまずいて尋ねた。「善い先生、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか。」
10:18 イエスは言われた。「なぜ、わたしを『善い』と言うのか。神おひとりのほかに、善い者はだれもいない。
10:19 『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証するな、奪い取るな、父母を敬え』という掟をあなたは知っているはずだ。」
10:20 すると彼は、「先生、そういうことはみな、子供の時から守ってきました」と言った。
10:21 イエスは彼を見つめ、慈しんで言われた。「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に 富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」
10:22 その人はこの言葉に気を落とし、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。

10:23 イエスは弟子たちを見回して言われた。「財産のある者が神の国に入るのは、なんと難しいことか。」
10:24 弟子たちはこの言葉を聞いて驚いた。イエスは更に言葉を続けられた。「子たちよ、神の国に入るのは、なんと難しいことか。
10:25 金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。」
10:26 弟子たちはますます驚いて、「それでは、だれが救われるのだろうか」と互いに言った。
10:27 イエスは彼らを見つめて言われた。「人間にできることではないが、神にはできる。神は何でもできるからだ。」

10:28 ペトロがイエスに、「このとおり、わたしたちは何もかも捨ててあなたに従って参りました」と言いだした。
10:29 イエスは言われた。「はっきり言っておく。わたしのためまた福音のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子供、畑を捨てた者はだれでも、
10:30 今この世で、迫害も受けるが、家、兄弟、姉妹、母、子供、畑も百倍受け、後の世では永遠の命を受ける。

「神の国に入るのはやさしい」と題して、大野学神学生に、メッセージをしていただきます。

皆さんおはようございます。現在西南学院大学神学部選科2年の大野學です。
日頃より、神学生のことを祈り支えて頂き、さらに、こうして神学校週間に際し、説教の機会をもうけてくださり、皆さまに感謝いたします。
本日、聖書箇所に選ばせて頂きました箇所の主人公は金持ちの男です。
私は現在、福岡の繁華街天神にある九州バプテスト神学校でアルバイトをしております。アルバイト先の近くには、1泊15万円といわれる外資系ホテルリッツカールトン福岡があります。そのエントランスには世界の名だたる高級外車が駐車されており思わず、どんな方が宿泊しているのか観察してしまいます。今日の聖書の主人公「金持ちの男」はきっと、今に生きていれば、高級ホテルに宿泊し高級外車を所有しているような人物だったのでしょう。一方で、近隣の公園では、生活困窮者の方々のための食糧配布が行われています。寮母の田中さんが代表を務める NPO 法人「ゆるまちネットワーク」が主催しているので、私もお手伝いさせていただいたことが数回あります。格差社会を強く感じさせられます。

さて、何もかも手に入れた「金持ちの男」が次に欲っしたのが「永遠の命」「神の国への入り方」です。そのためには、どんな事が必要なのでしょうか。お金でしょうか。徳を積むことでしょうか。また、貧しい人にはその資格はないのでしょうか。クリスチャンの方の一番の関心ごとだと思いますので、本日は、そのことに触れてお話させて頂きます。
17節、でこの金持ちの男はイエスに対して「善い先生」と持ち上げて「永遠の命の受け継ぎ方」を尋ねます。しかし、イエスはそれを快く思わず、「善い者は神以外にいないと」きっぱり否定します。「永遠の命を受け継ぐ」という表現にも、「永遠の命」をなにかお金や財産のようなものと考えている男の内面が伺えます。
19節では、イエスは男に対して十戒の後半6つ『殺すな、盗むな、偽証するな、奪い取るな、父と母を敬え』という教えは知っているだろうと仰ります。それに対し男は、それらの努力は全て実行済みだといいます。しかも、子どもの頃からと。
注目すべきは、十戒の前半部分、神に関しての言葉が全て抜けている点です。神様がいません。ですから、この男の意識としては、全て自分の力、努力で財産を築いてきた。そこに神はいなかった。イエス様はそのことを、男に警告しているのです。
しかし、そんな欲深い、貪欲な男に対しても神は慈しみのまなざしを向けます。
そして、この男に対して、持っているものを売り払い、貧しい人に与える」ことを薦めましかしそれができません。自分の努力で手に入れたという意識があるからです。自分の欲望を満たすために、イエスを利用しようとしたからです。それゆえ、それを満たすことが出来ないと知るやいなや、イエス様から立ち去っていきます。
21節や27節には「神の国に入る方法」が書かれています。それは、難しいことではありません。それは、自分の努力ではなく、神様により頼むこと、21節にあるように「持ち物を売って」「貧しい人に施す」という隣人愛と、イエス様に徹底的に従うことです。その過程の中で、そこに働く神の力を信じることです。それは、聖書の中で歴史が証明してくれている事実です。
そして、ラクダが出てきます。 金持ちはその財産を手放すことが出来ませんが、ラクダは「乗り物」「運搬の」道具であり、らくだは、生存のためにそのコブに、1度に45リットルの水を蓄えることができます。必要な時に・蓄えた水を使うことができる。救いに必要なのは、自分の中に水を蓄え、それを必要な時に惜しみなく使うことです。
29節で、「福音のために』「家、兄弟、姉妹、母、父、子ども畑を捨てる」と書かれています。イエス様はやみくもに捨てろとは言っていません、あくまでも、福音のためにが大切なのです。
そんな事を実際に示してくれたのが、私を信仰に、牧師に導いて下さった奥村敏夫先生と寮母の田中敦子さんです。
奥村先生は,「牧師を目指す」と自分の思い伝えると,半ば勘当状態となり、神学校の学費も自分でまかわなければならなくなりました。ですので、高校時代も学費を稼ぐために、アルバイト付けの生活、勉強は,あまりしなかったにもかかわらず、トップクラスを維持できたそうです。神学校を卒業してからは、開拓伝道に取り組んだ、当時すでにお子さんがおり、食べるものに事欠き、ご自宅にくるお客様に出するものがなく、水を出したこともあったと伺ったこともあります。心配してくれた創価学会の信徒の方から、お米をいただいたというお話も伺いました。
しかし、主の導きにより、どの教会に遣わされても祝福をうけます。
私が、奥村先生に出会った釧路教会も、当初信徒の数が7、8名だったのを約40名まで増やされた。前任地札幌教会でも実績を残され、札幌教会の信徒の方から釧路に行くと伝えると驚かれたそうです。しかし、そのように苦労して教会を建て直し自分にとって居心地が良くなったときに、先生は自分の役目はおわったと、釧路教会での職を辞されました。先生の行動は、本日の主人公の金持ちの男と違います。奥村先生は神に従順、困っている人に惜しげも無くたいせつなものをあけわたした。自分の利益のためには動かない、自分の大切なものをあけわたす。その考えの根本にはいつも神がいた。福音のため、神のためが基準となっています。たとえそれが人間の価値基準からはずれているとしても、常にそのことを意識することで、物事がうまく回っていく、「何でもできる」と信じている。その思考はきわめてシンプルですが、そのシンプルなことを徹底することが大事なのだとおしえられました。人間は、結果を求めて自力で何事も成し遂げようと努力します。しかし大切なことはそこに神が存在するかどうかです。

結田中敦子さんに関しても、地元の大きい支援団体から独立され「ゆるまちねっとわーく」をNPOとして立ち上げました。寮母としてのお仕事の傍ら大変なご苦労なことであると思いますが、イエスのいう、隣人愛の実践者だと感じます。
「神の国に入るのが難しい」とは、イエス様が望まない、ことをしようとするからです。つまり、何事も自分の力で成し遂げようとして誇り、エゴが膨らんだ状態で神の国に入ろうとすることです。あれも、これも欲しがり自分の欲求を満たしたうえでさらに「永遠の命」えようと、私たちはしがちです。しかしそれでは、一生神の国に入ることはできない。人間にとって本当は神の国に入るのは易しい、しかし自分で入ろうとするから難しいのです。神は27節で何でもできるだと宣言してくださった。今日証で紹介させていただいた、奥村先生、は福音のために親御さんから勘当され、最初はご家族を路頭に迷わすようなことがあっても、田中さんのように、自身で支援団体を立ち上げるにしろ、それが人間の目には明らかに「難しい」と感じられても、福音に基づいていれば、必ず神が働くようになっているのです。100倍の報いを受けることができるのです。
ですから、私たちは、そのなんでもできる神を心から信じて日々を過ごして参りましょう。

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